シェアリングエコノミー


スマートフォン経済の現状


 千年後の未来31世紀から見た21世紀は、きっと「アメリカ文明」の時代です。

 

 文明は、人が道具を使い労働する生産活動の営みの中で誕生し、道具の進化に伴い高度化します。打製石器を使用した狩猟採集生活の旧石器時代から始まり、磨製石器を使用した狩猟・漁猟・農耕・遊牧の新石器時代を経て青銅器や鉄器を使い共同で灌漑農業や牧畜を行う古代四大文明(メソポタミア、エジプト、インダス、黄河)が誕生しました。

 

 世界No.1の経済大国であるアメリカは、コロンブスの新大陸発見(1492年)から始まり20世紀の2つの世界大戦を乗り越え、21世紀初頭からに西海岸のシリコン・バレーを中心に半導体トランジスタやインターネットやスマートフォンという道具を創出しIT(Information Technology)ビジネスで世界経済を主導しています。

 

 2007年のiPhone誕生から10年、スマートフォン利用を前提に、ITビジネスの主導権争いは激化しています。世界No.2の経済大国の中国も最近は製造強国から研究開発強国を目指してイノベーションに積極的に取組み、最先端技術を駆使したグローバル市場で通用するスマートフォンを商品化するだけではなく人工知能 (AI: Artificial Intelligence))関連の特許出願を加速しています。また、インドもスマートフォン向けソフトウェアやIT関連サービスで急速に経済発展しています。日本は、現時点の世界No.3の経済大国ですが10年後にはインドやドイツに抜かれ5位に転落すると予想されています。


ITプラットフォーマの台頭


 現在のITビジネスは、ITプラットフォーマと呼ばれる世界のIT業界の覇者である米国のGAFA (Google, Apple, Facebook, Amazon)や中国のBHTA、即ちインターネット検索の百度(Baidu)、携帯端末の華為技術(Hauwei)、SNSの騰訊(Tencent)、e-コマースの阿里巴巴(Alibaba)による寡占化が加速しています。

 

 一方、日本では、ITに代わる言葉としてICT(Information & Communication Technology)が使われています。「人と人」や「人とモノ」の情報伝達、いわゆるコミュニケーションを強調した単語であると解釈できますが、肝心の通信ツールである国産ケータイ端末やセンサーネットワーク機器は市場シェアが低迷し電機業界の衰退・凋落傾向に拍車をかけている状況です。


既存ITビジネスモデル


 

 一般に、データは生成機関に対応して下記の4つに分類されています。

① オープンデータ

 ・国や地方公共団体が有する公共情報

② 暗黙知データ

 ・企業の特許やノウハウ等の知識資産

③ M2Mデータ

 ・生産現場のセンサーから収集されるMachine to Machineのストリーミングデータ

④ パーソナルデータ

 ・スマートフォンやウェアラブル機器から収集した個人の属性情報、移動・行動・購買

  履歴等

 

 企業のITビジネスでは、企業対企業(B2B)や企業対企業対消費者(B2B2C)や企業対消費者(B2C)型のビジネスモデルを想定しています。サービスユーザの需要に対して、②と③の場合は産業データとして活用し、個人の日々の目標達成や問題解決に繋がる実利的な情報の提供料が収入源となります。一方、④の場合は収入源は直接的な情報提供料ではなく、個人に情報共有の場を無料で提供する代わりに送信する本人のお気に入り(Favorite)な領域の企業広告が収入源となります。


ITプラットフォーマの狙い


  高度な知能を持つ人、いわゆる頭の良い人ほど、自分に好都合な成果をもたらす有益な情報を求めるようになります。他人との情報共有(シェアリング)は、自分のお金と時間を費やすことなく容易に未知な情報を獲得可能にします。

 

 一方、情報共有の大原則はGive and Takeです。SNS (Social Network Service)はユーザには利用料金は無料とする代わりに個人情報の登録を義務付けています。SNSユーザは、自分の知り合いに容易に情報発信できると同時に個人情報や発信内容を管理され、企業広告の受信も許容します。

 

  GAFAやBATの最大のターゲットは、5G時代を前提に、クラウドネットワーク上のデータベース(DB: Data Base)に蓄積した情報、即ち、個人情報を含む「ビックデータ」に対して、最先端情報技術である人工知能(AI: Artificial Intelligence)技術を駆使してユーザニーズにマッチしたサービスを創出することです。


情報の「協調共有」


 2017年11月10日、Dave Eggers氏による小説『The Circle』(2013)がロードショーされ、早速鑑賞してきました。個人のプライバシーさえもSNSで情報共有することへの警鐘に繋がる内容でした。

 

 個人情報の保護は、自己防衛のため必須です。SNSに気軽に投稿したたった一枚の顔写真やつぶやきが、友達ネットワークの連鎖で瞬く間に全世界に流出する恐れがあります。

 

 人は、他人に見せて良いもの、言っていいこと等を学習して社会人になっていきます。社会は、皆の協調空間であり、情報の「協調共有」が望ましいと考えます。