記録コスト


忘れ去られる記憶


 日々の活動の大半は、日常茶飯事として数日も経たずに人の脳の基本機能の一つである忘却機能により喪失します。

 感動体験が伴う心象は、脳内に断片的な曖昧なアナログ値で記憶され、ある程度の時間は記憶されていますが、歳月を重ねると、心象さえも遠い昔の思い出の一つとなり、頭の片隅に残る曖昧な記憶に過ぎないものになります。そして、いつか忘れ去られる運命にあります。


忘れたくない思い出


 脳の忘却機能により本人の同意が無くても知らない間に削除されてしまう人の記憶は、コストパフォーマンスに優れていますが、忘れたくない思い出までが喪失してしまう場合もあります。

 カメラ付きケータイやスマホの無い時代、その瞬間の自分の感動体験は、写真(スナップショット)として記録していました。古いアルバムに大切に保管されている数多くのスナップショットは、自分自身の感動だけではなく家族や友人との感動共有の記録として忘れたくない貴重な価値があります。


記録コスト


 近年のスマホ社会では、いつでも、どこでも、誰とでも、どんな日常茶飯事でもスマホカメラで容易に写真や動画のスナップショット撮影ができます。気が向いたタイミングで撮影した日々の活動記録は、後々になって自分がその瞬間に存在した証と有効ですが、心象が伴わない場合は二度と再生することのない単なるデジタルデータに過ぎません。

 最近は、有料のクラウドストレージサービスを利用すればクラウドネットワーク上のメモリーに大容量かつ安全なデジタル値として永遠に映像記録が可能です。しかし、クラウドネットワーク上のデータ削除は、本人の同意が必須であり、適時、自発的に不要なデータを削除しなければストレージ内に不要なデータゴミが蓄積され、許容容量を超えた場合は追加課金されることになります。