2018年1月25日
津川 定之
多数のコメントをいただき,ありがとうございます.コメントに対する回答のうち,ここでは全体的な回答を記し,個々のテーマについての回答はテーマごとに記します.
なお,自動運転は非常に大きなテーマで,単に技術だけではなく,社会全体で考える問題であることを認識する必要があります.しかし,ブログでは技術的な面から自動運転を考えます.社会全体からみた課題や,法律や制度,倫理など非技術的な課題についての議論は行いません.
・議論を行うためには言葉の定義を明確にして始める必要がある.ブログの第1回で自動運転の定義を述べているが,「自動運転」の定義を明確にしないままのコメントが散見される.
・ブログに対する強い疑問や鋭い質問が見当たらなかったのは残念であった.
・自動運転が導入される車種については今後のブログのテーマに予定している.一般には乗用車の自動運転が注目されているが,自家用乗用車の自動運転は遠い将来のことと考えている.自動運転の乗用車では,所有形態も自家用からシェアリングへ変化する可能性がある.近い将来の自動運転(レベル4)が導入される(導入すべき)車種は,高速道路上の隊列走行のトラックと交通弱者用低速小型車両と考えている.トラックの隊列走行は,先頭車が手動,後続車が無人で自動という形をとる.人件費削減,燃費改善などの効果がある.低速小型車両は,低速であるが故に安全装置を簡略化できる.いずれにせよ自動運転車の導入には,購入可能性(affordability,容易に購入できること)と受容性(acceptance,受け入れられること)が前提である.トラックの場合は,自動運転化に見合う利点が見込まれるが,低速小型車両については,設備や保守,運営については課題が残る.
・路車・車車協調型システムも今後のブログのテーマに予定している.路車・車車協調型システムの導入には「鶏と卵」問題を解決する必要がある.「鶏と卵」問題とは,路車協調の場合は,路側の装置が先か,自車の装置が先か,という問題で,車車協調の場合は,他車の装置が先か,自車の装置が先か,という問題で,結局はなかなか装着が進まないことになる.
・自動運転の導入には多くの課題が残されている.技術的課題だけでなく,affordabilityやacceptance,道路側の整備(市町村道まで含めると総延長は120万キロ以上になる),法律や制度の整備などの課題を解決する必要がある.「自動運転(広義)による死傷者数減>自動運転(広義)による死傷者数増」ならよしとするか,という議論も必要であろう.
・自動車交通の安全を実現する手段は,自動運転だけではないことを認識する必要がある.たとえば,信号交差点の歩行者事故を防ぐためには,歩車分離信号の設置が,技術的にも容易でかつ早期に実施可能な方策である.また住宅街の事故を防ぐためには,道路にハンプ(こぶ)を設けたり車道をジグザグにして速度が出なくしたりする方策が効果がある.
以上
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