利活用の現状


現役イノベーター



 特許やノウハウは、無形の知識資産です。現役イノベーターの知識資産は、イノベーション活動の一環として新商品(製品、システム、サービス、技術)創出に必要不可欠な技術的知識や経験であり、企業の重要な知的財産として実施許諾や譲渡の対象となります。

 

 特許は公開原則で先使用の独占的知的財産権を20年間確保可能となります。一方、ノウハウは秘匿性は高いが他者が同じノウハウで特許登録した際には、その時点から当該ノウハウの利用は不可能となります。

 

 一方、研究開発と事業化の間にあるギャップ、いわゆる死の谷(Valley of Death)を乗越え新商品として販売された後、事業目標を達成したか否かで知識資産の扱いは変わります。目標達成の場合は、企業の独自技術や匠の技の中核として組織内の同僚後輩達に継承されていきます。一方、新商品創出に役に立ったが事業目標を達成できなかった場合は、企業内での資産価値は低く評価され、定年退職と共に会社の片隅、宇宙の彼方に埋もれてしまいます。

 

 ビジネス成功の確率は千三つと言われています。現実は、現役イノベーター達のほとんどの知識資産が、在職中に有効に利活用されていません。しかしながら、イノベーター個人の知識資産として頭の片隅に記録・保持されています。

 

 当社は、知識資産のリサイクルを促進し、埋没知識資産を積極的に利活用します。


退職エキスパート


 定年退職後、新たに創出した知識資産は個人に帰属します。埋没した知識資産を掘り起こし磨きをかけることや自分の関心が高い領域で新たな特許を考案しノウハウを蓄積することは、退職エキスパート自身の持続的イノベーションに相当します。

 

 創出した知識資産をビジネスに利活用するか否かは退職エキスパートの意思次第で決まります。ビジネスマインドがある場合、どうすれば退職エキスパートが自分の知識資産でお金を稼ぐことができるか、単に特許出願すれば確実にお金に結び付くのか、答えはNoです。例えば、個人を含む全ての特許は、特許庁のホームページに掲載され、誰でも閲覧可能です。企業の現役イノベーター達は、自分のプロジェクトに関わる他社特許を慎重に調査し、既存特許への回避手段を考案します。

 

 従って、個人が企業から特許ロイヤリティ収入を得ることは実際は非常に困難です。