現役イノベーター


夢の実現!


 1965年SFアニメの傑作スーパージェッター(原作:久松文雄)のTV放映が始まり、当時の小学生達は高度な科学技術で構築された未来社会を空想し、いつか自分も科学者になる夢を抱きました。今から1000年後の30世紀社会の時間捜査員であるジェッターは、タイムマシン流星号で犯罪者ジャガーを追跡中に事故を起こしタイムスリップして20世紀社会に来てしまいました。タイムマシン流星号は、ジェッターの腕時計型タイムストッパーを用いた「流星号 流星号 応答せよ」との音声呼び出しに、マッハ15で空間移動しジェッターを迎えに来ます。

 現在、世界中で推進中の第5世代移動体通信システム、自動運転車両、ロボットの研究開発では、流星号の実現は明らかに不可能ですが、23世紀にもなると流星号のプロトタイプが開発されているかもしれません。


ミッション


進展する新商品創出ターゲット


 21世紀の現代は、車とネットワーク社会です。特に、車のドライバーやスマートフォンユーザは、モバイルユーザとして安心・安全・快適・便利なアプリケーションサービスをいつでも、どこでも提供されています。現代社会を支えるシステムや製品は、企業や大学や公的研究機関において、技術の研究開発や新商品開発に携わるイノベーター達(研究者や技術者)の日々の努力の賜物です。

 

 近年、ビックデータの超高速処理を前提としたクラウドコンピューティングやモノのインターネットであるIoT(Internet of Thngs)の積極的な導入検討が進み、様々なアプリケーションが各種ネットワークシステムを介して多様なユーザニーズに対応したQoSを満足するサービスとして提供されています。

 

 今後、AI (Artificial Intelligence)を導入したサービスの実フィールドでの利活用が進み、ICCNS 領域の技術課題がStep by Stepで解決しネットワークシステムの改良が成されていけば、2030年代には完全自動運転車や人の社会活動をほぼ代行可能なロボットが大量生産される時代が到来するはずです。


チャレンジすべきこと


 企業持続的成長の必須条件は、新時代の勝ち残りを賭けてイノベーション(Innovation)に取り組み、その時代にマッチした新商品(製品、システム、サービス、技術)を順次タイムリーに創出することです。新商品をグローバル市場で展開し、売上げ増大につなげてイノベーションは成功となります。

 

 現役イノベーターは、市場のリーダとして世界市場ニーズを的確に捉え、ユーザの利用するアプリケーションへの要求サービス品質(QoS: Quality of Service)を満足するシステムや製品とそれを支えるICCNS 領域の技術を開発することが必要です。即ち、現役イノベーターには、

・Invention(発明・発見)

・New business(新事業)

の創出力が必須となり、時には不可能と思われる開発目標にもチャレンジします。

 

 Invention領域では、単に要素技術のプロフェッショナルだけではなく新技術プラットフォームのシステマティックな構築が必要となります。社内イノベーターの技術力向上には時間がかかり、オープンイノベーション化を進め社外技術導入を検討する企業も数多く存在します。

 

 また、New business領域では、日本商品の「安全・安心」ブランド力を維持発展に寄与するノウハウの積極的な利活用が必要となります。さらに、新商品の消費者への訴求効果として、品質面に加えて優越感を与える「Only One No. 1」の独創性や快適感を与えるサービス面での創意工夫が求められます。


社内プロジェクト成功の鍵


仕事の成果


 イノベーターの能力は、「技術とビジネスのエキスパートとしての仕事の成果」で評価されます。

 

 仕事の成果は、各自の総合的な能力、すなわち「体力×気力×知力」が左右します。体力は加齢と共に劣化しますが、気力はやりがいのある業務に従事することで年齢に無関係に向上します。知力は、日々の努力と社会経験の積み重ねで向上します。


適材適所


 企業のイノベーションプロジェクトは、一般に20代から40代のイノベーターで構成されます。一般に、20代の現役イノベーター達の特徴は、体力>気力>知力であり、実務経験を重ねるにつれて、40代には知力>気力>体力の中堅イノベーターへ成長していきます。プロジェクトの成功は、個々の能力を考慮した適材適所のメンバー配置がポイントの一つになります。

 

 「Only One No. 1」の新商品は、知力を発揮し「生みの苦しみ」を克服したイノベーターの日々の努力の成果です。新商品に欠かせない他社商品との差別化は、個々のイノベーターの知力発揮による独創的なひらめき(アイデア)に起因します。常日頃から24時間いつも必死に考えていないと「良いひらめき」は生まれません。技術のスペシャリストを目指す若手イノベーターの活躍が期待されます。

 

 一方、新商品がヒット商品として事業拡大に貢献するためには、イノベーションプロジェクトのスタート段階から、ビジネスの原則であるMarket In Product Outに立脚した活動が必要となります。イノベーターは、顧客ニーズにマッチした新商品創出を目標に、顧客ニーズを的確に把握するために将来の想定顧客に自分のアイデアをアピールしてその反応を確かめます。その際、お客様の関心がどこにあるか瞬時に見極めるプロモーション能力が求められます。技術だけではなくビジネスマインドの高い中堅イノベーターの活躍が期待されます。

 

 現役イノベーターのあるべき姿は、日々知力を磨きプロジェクト目標を達成し、新たなプロジェクトにより責任あるリーダーの立場で挑戦するプラスのスパイラルを上り詰めていくことです。


リーダーシップ


 プロジェクトリーダーは、リーダーシップを発揮して成果を出すことに全力を尽くさなければなりません。有限な社内リソース(ヒト、モノ、金)と時間の克服がプロジェクト成功の秘訣となります。

 

 プロジェクトの優先度をどのレベルに設定するかの経営判断が、社内リソース割り当てに影響を及ぼします。新商品創出は、将来への投資であり企業には大きなコスト負担となります。プロジェクトリーダーは、社内優先度を上げるためには、経営陣や社内関連部署とのネゴシエーションが必要となり膨大な時間が割かなければなりません。プロジェクトメンバーの現役イノベーター達に、自分の担当業務に集中してもらうためにも必須の業務となります。プロジェクトリーダーの社内ネゴシエーションの失敗は、プロジェクト中止を招きます。


不測の事態への対処


突然のプロジェクト中止


 現役イノベーターも一つのプロジェクトだけに技術とビジネスのスペシャリストとして長期間従事するのは非常に困難な時代となってきています。企業には、経営判断に基づくプロジェクトの優先順位の見直し、職務内容変更等があります。また、近年は盛んに企業の経営統合、合併と買収(M&A: Merger and Acquisition)等が繰り広げられています。

 

 大きな成果を出していると自負しているイノベーターでも、不本意ながらも組織決定に逆らうことはできません。同一企業に留まるには、新規プロジェクトに参加し全力で新たな成果を出すことが求められます。現時点で40代前半ならば特に問題は無いと思えますが、既に50代で15年後に65歳の定年を迎える方は、ビジネスのスペシャリストとして新プロジェクト参加は可能ですが残念ながら技術のスペシャリストの道から遠ざかることになります。


速やかに成果を出す


 会社にとってもプロジェクトメンバーの一人である現役イノベーターにとっても、速やかに成果を出すことが最大のメリットとなります。そのためには、オープンイノベーションをどう進めるかがポイントとなります。

 

 かつての自分と同様に、技術課題に直面し納期は迫るが自分一人ではブレークスルーできなくて苦悩している現役イノベーターがたくさんいると推測します。そんな時には、退職エキスパートを含む外部のエキスパートの知識資産を利活用すれば早期解決の可能性が高まることが期待できます。