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作業車の運転支援・        自動運転と「レベル6」



  作業車の運転支援,自動運転について述べよう.ここで作業車とは自動車交通に関係した車両で,清掃車や除雪車を指す.これらの車両の運転支援,自動運転も考えられており,一部は実用化されている.作業車の自動化の効果は,精密な車両の制御,運転負荷や作業負荷の低減,人件費の削減にある.

NEXCO中日本のトンネル内照明灯清掃車のハンドル制御が自動化されて実際に運用されている.これはエネルギーITSの成果で,精密にハンドルを制御して照明灯を正しく清掃することを可能とした.

除雪車は降雪時や積雪時に動かすために,路面の視認が困難となる.実際,除雪車が路側の構造物をしばしば壊すらしい.2000年ごろ米国やわが国で除雪車の運転支援の実験が行われている.米国ミネソタ州では,GPSと地図に基づいて生成した仮想レーンマーカを実際の道路シーンに重なるようにハーフミラーに表示し,カリフォルニア州では路面に埋設した磁気マーカ列を用いた.広い範囲に雪が降るミネソタでは自律型で山間部の峠だけ雪が降るカリフォルニアでは路車協調型ということか.わが国では車から受信した微弱電波を2逓倍して送信する受動的な送受信機を路面に埋設した.

上述したように清掃車や除雪車の運転支援・自動運転技術はほぼ確立されており,そのうえ作業車は専門のドライバや作業員が用いるために導入は容易と思う.

除雪車は,ヒューマンドライバが乗用車を運転できないような環境下で運転支援や自動運転で走行する.したがって上述した除雪車のレベルは,現在定義されている自動化レベルの範囲外ということになる.運転支援であっても通常の運転は不可能な環境であるから,レベル1ではない.これをレベル6とするのはどうだろう.

 米国運輸省FHWAは,1991年に成立した法律ISTEA(Intermodal Surface Transportation Efficiency Act)に基づいて1997年に米国サンディエゴで自動運転(AHS,Automated Highway Systems)の大規模なデモを行った.そのために1993年から産学がコンソーシアムを結成して事前調査(Precursor Systems Analyses)を進めた.前置きが長くなったが,そのなかでCalifornia PATHの報告書[1]には,” AHS to operate under all typical U. S. weather conditions. (米国に見られるすべての典型的天候下で動く自動運転)”という記述がある.航空機には視界不良時に着陸を支援するILS(Instrument Landing System)がある.視界不良時などヒューマンドライバによる運転が困難な,または不可能なときのための運転支援,自動運転が乗用車にも必要だろう.乗用車のレベル6である.北海道では積雪時に備えて路端を示すポールが路側に設けられているのを随所に見ることができる.東北地方では路側のポールからレーンに沿って光の帯を投射する試みがあった.技術的には困難で,経済性も障害になるかもしれないが,自律型,路車協調型を問わずいい方法はないものだろうか.

 以下は余談である.サンディエゴのデモの後,自動運転はしばらくは実現しない,したがって産業にも寄与しないということで米国はAHSのプロジェクトを1998年初頭に中止し,代わって運転支援を目的としたIVI(Intelligent Vehicles Initiative)を開始した.上述したミネソタやカリフォルニアの除雪車はIVIの成果である.AHSのプロジェクトが中止された1998年に創業したGoogleが自動運転車を走らせ始めるのはAHSプロジェクトが中止されて10年あまり経った2010年ころである.Google車のルーツは,運輸省のAHSプロジェクトではなく,国防総省DARPAの自動運転コンペである2004年と2005年のGrand Challengeと2007年のUrban Challengeにある(このことは先回述べた繰り返しになった).

 

[1] U. S. DOT Federal Highway Administration: Precursor Systems Analyses of Automated Highway Systems, California PATH Urban and Rural AHS Comparisons (CD-ROM) (1997)

 



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